“ロボットフレンドリーな環境”
とは? なぜ必要?
- 室長補佐(総括) 福澤 秀典
- 経済産業省製造産業局ロボット政策室
まだロボットは当然のように生活空間にはいない。ロボットは性能に注目されがちであるが、普及に重要な指標の一つは価格だ。技術が優れていても、買い手がいなければ普及しない。現在、サービス分野において、多種多様なユーザーの声にロボットメーカーや現場へのロボット導入を担うシステムインテグレーターが真摯に対応し、個々のロボットシステムが作られている。しかし、作られた製品は特定ユーザー向けとなるが故、他のユーザーに導入することが難しい。その結果、大量生産が困難となり一向に価格が下がらない、というのが現状だ。
その状況を払拭するためには、“所与の環境にロボット導入する” 発想から脱却し、ユーザー側が、ロボットを導入しやすい環境、いわゆる“ロボットフレンドリーな環境になる” 発想への転換が必要だ。経済産業省は、産業界と連携しユーザー側におけるロボフレ環境の実現に注力している。そうすることで、ロボットの大量生産が可能となり価格が引き下がる構造を作り出すことが狙いだ。具体的には、産業界と「ロボット実装モデル構築推進タスクフォース」を設立し、オフィスビル・ホテルといった施設、スーパーといった小売、弁当製造といった食品製造、物流のハブとなる物流倉庫の4分野にフォーカスして検討している。
ロボットは、これまでBtoBの領域で主に活躍してきたが、コロナ禍も踏まえ非接触化を実現するべく、今後は如何にBtoCの領域に拡大していくかが鍵だ。今後、ロボットを扱う人材は、ロボットフレンドリーな環境に関する知見をより深く学ぶことが重要であり、それがロボットの社会実装への近道だ。